41. 感嘆表現

        41.1 感嘆文  

          41.2 感動詞


41.1 感嘆文

 「0.3 文の種類」で「感嘆文」という名前を出しましたが、日本語ではあまり重要な文型ではありません。理論的な文法研究では、「文とは何ぞや」という根本問題を論ずるとき、この「感嘆文」が重要な位置を占めうるのですが、この本のような記述的な文法では、かんたんな扱いになります。

 感嘆の表現としてよく使われるのは、まず次のようなものです。(例文にはすべて感嘆符を付けておきます。話しことばでは独特のイントネーションが加わります。)

     すごい!  きれい!  大きいなあ!  きれいだねえ!

     やるーう!  やった!  よく走りますねえ! 

     すごい美人!  ひどい話ですねえ!  火事だ!

 つまり、

     イ形容詞の基本形(+終助詞)

     ナ形容詞の語幹・基本形(+終助詞)

     動詞の基本形・た形・ます形(+終助詞)

     名詞述語の基本形・です(+終助詞)

     名詞そのもの(多く形容詞に修飾された形で)

などです。動詞の過去形は完了と考えられるものが多いでしょう。「感嘆」は基本的には現在のことに関するものですから。もちろん、過去のことを思い出して言うこともありますが。

     あれはおいしかったねえ!       

 上にあげた例の一つ一つ、そして特にこの過去の例を「感嘆文」とするかどうかは、つまり何を「感嘆」と考えるかによります。

 もう少し文型らしいものを探すと、次のものがあります。

     なんて素晴らしいんだろう!

     なんとひどい話なんだ!       

     何ておいしいことでしょう!

 文型として抽象すれば、


    なんと   述語    こと      だろう/でしょう (か)  

                 +      +       +   

    なんて          の/ん       だ     


という形になります。   


41.2 感動詞

 感嘆表現と関係の深いものに「感動詞」があります。「感動」詞という名前を超えた、さまざまな表現がここに入れられます。

   応答表現    はい、いいえ、ええ、うん、ううん、いや、

   あいさつ    こんにちは、さようなら、おやすみ、じゃ、また、

   感謝・謝罪   ありがとう、すみません、しつれいします、ごめん、

   驚きの表現   あら、まあ、へえー、おや、わっ、これはこれは、

   かけ声     えい、やあ、どっこらしょ、よっこいしょ

   注意を引く表現 ほら、あのう、あのね、おい、そら、これこれ、 

   罵倒      ばかやろう、こら、ちくしょう、くそっ

   あいづち    ええ、そうですか、そうですね、おや、まあ、ほんと、

           うっそー、

   言いよどみ   えー、まあ、そのー、あのー、ええと、なんというか

   確認      でしょう、ね(上昇調)

   応援      フレーフレー、ファイト、やれー、いけー

 意味的にはいろいろ注意すべき点などもありますが、文法的には、いわゆる「文の成分」とはちょっと別のもの、という位置づけになります。

 そのさまざまな意味合い、相手に与える印象の違い、使用条件など、学習者には習得の難しいものが多いのですが、文法で正面から扱われることは少ないものです。

 「あいづち・言いよどみ」の類は、会話を順調に進めるためには重要なものす。丁寧な形のあるものは、学習者にとって要注意のものです。

     そうね/そうですね   そうか/そうですか

     あのね/あのですね

     なんというか/なんといいますか/なんともうしますか


niwa saburoo の日本語文法概説

日本語教育のための文法を記述したものです。 以前は、Yahoo geocities で公開していたのですが、こちらに引っ越してきました。 1990年代に書いたものなので、内容は古くなっていますが、お役に立てれば幸いです。

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