56. 連体節(1)

   56.1 概観            56.6 「という」    

   56.2 内の関係           56.7 連体の重なり

   56.3 外の関係           56.8 連体修飾の機能

   56.4 連体節の中の要素      56.9 名詞述語となる連体節

   56.5 連体節のテンス・アスペクト             

       

56.1 概観

連体節とは、連体修飾節、つまり「名詞(体言)を修飾する」節です。

       この 本       ここにある 本          

       事故の ニュース   飛行機が遅れる という ニュース 

左の二つは「連体詞」と「Nの」による例で、右の二つが連体節の例です。「この」と「ここにある」の機能は同じで、「本」一般あるいは他の本ではなく、今、目の前にある「本」を指定しています。それに対して、「事故の」は「ニュース」の内容を表しています。「どのニュース」というより「何のニュース」あるいは「どんなニュース」です。同じように、「飛行機が遅れる」も「ニュース」の内容です。連体修飾の機能は、「名詞を限定する」「名詞の内容を示す」以外にもありますが、それは後でまた考えます。 

 なお、ここで使われている「という」は連体節と名詞を結ぶ役割をするもので、それ自体の意味はありません。「と」+「言う」という意味ではありません。けれども、微妙に「引用」と関係があります。

さて、連体節は大きく二つに分けられます。呼び方は寺村秀夫の簡潔な呼び方を借りて「内の関係」「外の関係」とします。

「内の関係」というのは、

     ここにある本はぜんぶ数学の本です。

の「ここにある本」のような場合を言います。「ここにある」が「本」を連体修飾しているわけですが、その連体節の動詞「ある」と修飾される名詞「本」との関係が、

     ここに(本が)ある

のように、述語と補語として関係づけられるような場合です。

     あそこで本を読んでいる人は、・・・

を日本語の先生が「やさしく」言い換えようとすると、

     あそこで人が本を読んでいますね。あの人は、・・・

のように言うことがあります。「本を読んでいる人」には「人が本を読んでいる」という関係が含まれているのです。

連体節の中に、修飾される名詞と同じ名詞が何らかの「補語」の形で存在できて、それが「消されている」または「移動した」とも考えられるような形、それを「内の関係」と呼びます。連体節の「内側」にその名詞が入りうるような関係、ですから「内」の関係と呼ぶのはわかりやすい呼び方でしょう。どんな補語が、連体節の被修飾名詞となりうるかは、あとでくわしく考えます。

内の関係の連体節の中の述語のとりうる形には制限があり、例えば、

     × ここにあります本

     × ここにあるだろう本

という形はふつう使われません。このことも後でまた考えます。

もう一つの「外の関係」というのは、

      飛行機が遅れるというニュースを聞いて、がっかりした。

の「飛行機が遅れる」と「(という)ニュース」のような関係で、名詞を修飾している節の中にその名詞が入りうることはなく、この例では、その節の表わしていることがその名詞の内容になっています。「ニュース」とは「飛行機が遅れる」ことそのものです。

 なお、「さっき聞いたニュース」なら、「内の関係」になります。ずっと前に「45. 複文について」で例に出した「昨日聞いた話」は内の関係で、「亀を助けた話」と「つりに行こうという話」は外の関係です。

内の関係になる名詞は、補語となりうるような名詞、つまりほとんどすべての名詞ですが、外の関係になる名詞は限られています。上の「ニュース」のようにその「内容」を節としてとるもの以外にもいろいろ種類がありますが、それは後でくわしく見ることにします。

 「外の関係」になりうる名詞は、みな「内の関係」にもなります。学習者は、どちらにもなりうる名詞の場合、意味を間違えないよう注意が必要です。

 初級でまず出てくるのは「内の関係」ですので、そちらから見ていくことにしましょう。


56.2 「内の関係」

「内の関係」は、英文法の「関係節」に似ていますから、あれを思い浮べると、イメージがつかみやすいでしょう。もちろん同じではありませんが。

よく言われるのは、日本語には英語のような「関係代名詞」がないので、わかりにくくなりやすいということですが、そうではないと思います。逆に、英語のような関係代名詞がなく、ただ名詞の前につけるだけですからとてもかんたんです。このようなやり方は他の言語にも見られるものです。関係代名詞がなくとも、日本語はそれ以外のやり方でわかっているのです。英語などを日本語に翻訳するとき(そのまま直訳できたほうがかんたんだから)関係代名詞が欲しくなる、というのならまだわかりますが。

基本的な例文を見てください。

    1 あそこにあるかさはあなたのですか。

    2 昨日見た映画の話を友達にしました。

    3 来週行くお寺を事典で調べています。

    4 私が住んでいる町にいつか来てください。

    5 肉を切った包丁で野菜を切ると、においがつく。

このような表現は日本語の中で非常にありふれたものです。日本人にはどれも同じように見えますが、よく見るとそれぞれ少し違うことがわかります。

上の例文を一つずつ見ていきましょう。例1の場合に「あのかさはあなたのですか」なら単文ですが、「あの」の代りに「あそこにある」で修飾されているので、複文になります。そして、

     ちょうどあそこにかさがあります。(その)かさはあなたのですか。

を一つにまとめたような内容を表しています。言い換えれば、「ある」と「かさ」の関係は「かさがある」、つまりすでに述べたように動詞と「Nが」という補語との関係になっています。

例2ではどうでしょうか。「昨日見た映画」ですから、「映画を見た」つまり「Nを」です。例3では「お寺へ/に(行く)」、例4は「町に(住む)」、例5では「包丁で(切る)」という関係になっています。

このように、内の関係では、修飾される名詞と節の中の動詞との関係にどのような種類があるか、言い方を変えると、動詞の補語のうちどんなものが連体節によって修飾されうるかが問題になります。

一方、その名詞が主節の中でどのような補語になるかは、制限されていません。上の例でも、「かさは」「映画の」「お寺を」「町に」「包丁で」となっていて、主節の述語との関係はさまざまです。連体節の動詞とどんな関係にあるかということには影響されていません。


56.2.1 節内の述語と被修飾名詞の関係   

さて、上で述べた問題、修飾される名詞と節の中の述語との関係の種類を考えてみましょう。格助詞別に見て行きます。


[Nが]

まず、主体の「Nが」は上で見たように問題ありません。

     あそこにあるかさ 昨日来た人

対象の「Nが」も問題なくできます。

     私が好きな食べ物(私はその食べ物が好きだ)

     彼ができる外国語(彼はその外国語ができる)

 ただし、次のような問題が起こります。主体も対象も人だと、

      彼女が好きな彼

のような例ができます。この例では、どちらがどちらを好きなのかはわかりません。(このような説明をしようとすると、「Nを好きだ」という形を使うことになります)

     吉永小百合が好きな私の兄 (主体:兄、対象:吉永)

     私が好きな女優は、吉永小百合です。(主体:私、対象:女優)

なら、まあ、ふつうははっきりしています。逆だったら週刊誌記者が飛んで来ます。

「は・が文」で、主体の部分・所有物などを表す「Nが」の場合、「Nは」のほうは修飾できますが、「Nが」の方を修飾する時、「Nは」を「Nが」にして節の中に入れることはできません。

     私は胸がどきどきしていた。

     胸がどきどきしていた私

    × 私がどきどきしていた胸

この「私は」は、「私の胸」という関係に戻せばいいのです。

     どきどきしていた私の胸(も、やっとおさまってきた)

 もちろん、「Nが」が慣用句の一部となっている場合は取り出せません。

     私は腹が立ちました。

    × 立った私の腹

 慣用句が例外になるのは、他の補語でも同じです。


[Nを]

次は「Nを」ですが、問題ありません。まず、「対象」の「Nを」。

     私が買った辞書 昨日見た夢

     彼女がしたこと(彼女が[ある]ことをした)

「通過点」「出発点」の「Nを」。

     昔歩いた道   毎日通る廊下

     彼女が出た大学   船が離れた桟橋

使役文の「Nを」も同じです。

     母親が買い物に行かせた子供(子供を買い物に行かせた)

 言いにくいものは、例えば次のようなものです。

     キリン後ろを向いた

    ?キリンが向いた後ろ(には象がいた)

     勇気を出して私は中をのぞいてみた。

    ?私がのぞいてみた中(には何もなかった)

これらは「Nを」の問題ではなく、「後ろ・中」の「名詞性」の問題でしょう。「中」の例で、「箱の中」にすれば何も問題はありません。

     私がのぞいてみた箱の中(には何もなかった)


[Nに]

 「Nに」の用法はいろいろありますが、下のものは連体節になります。

  相手  彼がプロポーズした相手  私が日本語を教えた学生

  場所  彼女がいる部屋  お金が置いてあるところ

      夏に泊まった旅館  私が座っている席

      列車が着いた駅   子供の手が届く棚

  時   手紙を受け取った日  皆が集まる時間

  使役  先生が掃除をさせた子ども(子どもに掃除をさせた)

ちょっとなりにくいのは次のようなものです。 

     日本語教師になる  → ?彼女がなった日本語教師というのは・・・

     私たちが雨にぬれる   → ?私たちがぬれた雨は強い酸性雨だった

     子が父親に似ている → × 子が似ている父親は多い

     彼の意見に失望する  →  × 私が失望した彼の意見は・・・

 これらの文、特に後の2つは不自然と感じる人が多いと思います。

 自然な語順が「NをNにV」となるような「Nに」もなりにくくなります。「NにV」が一つのまとまりとなっているからです。

     彼は子どもを医者にした → × 彼が子どもをした医者 


[Nへ]

     母が買い物に行ったデパート

 ただし、これは「デパートに行った」であるとも考えられます。


[Nで]

 「Nで」もいろいろありますが、場所・道具は連体にできます。

     子供の時に遊んだ公園  たばこを吸うところ

     魚を切った包丁  贈り物を包んだ紙

次のものは連体になりにくいものです。

    ?電車が遅れた事故(事故で電車が遅れた)

    ?手紙を書いた英語(英語で手紙を書いた)

    ?私が学校へ通った電車(電車で学校へ通った)

 人により、文脈により、かなり判断が違ってくると思いますが。


[Nから]

「Nから」は出発点の用法は難しいようです。

    山奥の村から出て来た → 彼が出て来た山奥の村は・・・

というと「村を出る」と考えられます。

「NからNへ」のような単なる移動の出発点ではなく、

    しずくの垂れるかさを持ったまま入ってきた。(かさから垂れる)

とすると言えそうです。

    煙が出ている煙突(煙突から出る) (?煙が煙突を出る)

これらは「離れるところ」という意味合いがあります。


[Nと]

「対者」はできますが、「仲間」はできません。

     彼女が結婚した男性     彼女が戦った相手

    ×毎朝学校へ通った友達    ×映画を見た恋人(といっしょに)

 「いっしょに」をつけると言えます。「Nといっしょに」の「と」で、つまりは「いっしょだ」という述語が「Nと」を必須補語としてとるからだ、ということでしょうか。

     毎朝いっしょに学校へ通った友達

     いっしょに映画を見た恋人


[Nの]

 次の例では「NのN」の初めのNが連体修飾されています。

     子供が迷子になった母親(母親の子供)

     名前が掲示板に出ている学生(学生の名前)

     表紙が汚れている本(本の表紙)

     性格が落ち着いている人(人の性格)

     作品が入賞した学生(学生の作品)

所有や部分・側面などの持ち主が被修飾名詞になります。


[あいまいな場合]

さて、それぞれの補語が連体節になれるかどうかを見てきました。

実際の連体節の中の動詞が名詞とどのような関係になっているかは、そこだけを見ていては決められない、あいまいな場合があります。例えば、

    a 彼女が好きな彼

    b お金を借りた銀行が倒産した。

    c 十年前に私が引っ越した家には、大きな池があった。

例aについては、[Nが]のところですでにふれました。

例bでは、私が銀行から借りたのか、銀行が別のどこかから借りたのか、の二つの可能性があります。前の場合は、もちろん「私が」を入れたほうがいいでしょう。

     私がお金をかりた銀行が倒産した。

例cでは、「その家から」引っ越したのか、「その家に」引っ越したのか、です。後の場合は、「池があった」という表現があるので、その家からまた(今の家に)引っ越したらしいことが暗示されます。

[その他]

 内の関係の中には、補語として連体節の中に入れるのは難しいけれども、後でとりあげる「外の関係」とも言えないようなものがあります。

     頭の良くなる本

 これは、

     その本を読めば、頭が良くなる

という意味関係があると考えられます。

     学生がのびる先生

も同じような例です。

     その先生が学生を教育すれば、学生がのびる

となります。これらは原因・理由の「Nで」との近さを感じます。

 その他にも、実際の例ではいろいろあり得るようですが、基本的には補語となるような名詞句が非常に多いことは間違いのないことです。


[特殊な名詞の場合]

 連体節を受ける名詞が特別な名詞である場合を考えます。

     貴重品をしまっておくところ

の連体節と名詞「ところ」の関係は、

     貴重品を[ところに]しまっておく

のように考えられますが、「ところに」だけでは意味が分かりません。例えば

     貴重品を[(ある)ところに]しまっておく

のように補って考えなければなりません。「こと」の場合も同じです。

     そこで見たことをぜんぶ話して下さい。

     そこで[ことを]見た

「ことを」を「(その)ことを」と考えればわかります。

 「ところ」や「こと」は名詞の種類、場所名詞か事柄名詞かなどを表すだけで、実質的な指示物が定まりませんから、「ある」や「その」のような言葉で限定されることが必要になります。

「の」の場合は名詞の種類さえ表しません。

     スリッパは、その中にあるのを使って下さい。

     私が書いたのは、あまり評判になりませんでした。

     昨日買ってきたのはどこに置いてある?

 「の」は何かの名詞のかわりに使われています。最初の例では、

     その中にあるスリッパ 

     その中に[スリッパが]ある

の「スリッパ」が「の」に置き換えられていると言えます。他の例でも、文脈から「の」が何を指しているかわかるようになっていなければなりません。

次の例は、連体節とは見なしません。「強調構文」(→57.5)と考えます。

     いちばんわかりやすかったのは、この本です。

     (この本がいちばんわかりやすかったです。)

     君が読まされたのは、たぶんこの本の一部だろう。


[補語が残っている場合]

 「の」が使われる場合には、補語が残っている場合もあります。

     お菓子がしまってあったのを見つけて食べた。(の=お菓子)

     吹雪には、紙を細かく切ったのを使います。(の=紙)

 これらは、

     しまってあったお菓子を・・・

     細かく切った紙を・・・

としても同じ意味を表します。どういう場合にこのような構文が成り立つのかはよくわかりません。

 あとで見る「名詞節」の中に、この「の」に近いものがあり、区別が問題になります。


56.2.2 非限定用法

 連体節はもちろん連体修飾という機能を持っています。連体修飾の働きは、「限定」と「性質・内容の説明」であるということを「10. 修飾」のところで述べました。例えば、 

     ここにある本は、中国で買ってきた本です。

の「ここにある(本)」は、他のは違う、という意味合いがあり、限定の働きが強く出ています。「どの本」という指示を求める問いに対する答えになります。「中国で買ってきた(本)」のほうは、他の本と区別するより、その本の特徴を述べることに重点があります。「どのような本」に対する答えです。

     ここにある本は、中国で買ってきました。

と言うこともできます。

 さて、もし修飾される名詞が一つしかないものであれば、ある名詞を限定するという働きは必要ありませんから、必然的にその名詞の性質・特徴などを説明する働きのみになります。 

     彼女が生活費にも困っていた僕を援助してくれた。

     その件は、事情に詳しい/詳しく知っている 田中君に任せました。

     その時彼は、いつも彼を批判している私をかばってくれた。

     私は先月中国に返還された(ばかりの)香港に行ってみた。

     彼女は新宿から20分で行ける調布に住んでいます。

     以前から2台目の車がほしかった奥さんは大喜び。    

     子育てを終わった佐藤信子さんは、地域活動に精を出している。

 この文型は、連用節に近い意味合いを持つことがよくあります。 

     僕が生活費にも困っていたので、彼女が援助してくれた。

     いつも彼を批判しているのに、彼はその時私をかばってくれた。

     奥さんは以前から2台目の車がほしかったので、大喜び。

     佐藤信子さんは子育てを終わり、地域活動に精を出している。

この、連体節と連用節の意味関係については「59.複文のまとめ」で少し述べることにします。


56.3 「外」の関係の連体節

では、次に「外」の関係を見てみましょう。外の関係というのは、修飾される名詞が連体節の動詞と補語の関係を持たず、連体節がその名詞の「内容」や「基準」などを表しているものです。

     計画をすぐ実行しようという意見を述べた。(内容)

     外国人に日本語を教えるという仕事をしています。

     給料は営業成績によって決めるという条件で就職した。

     ドアが開く音がした。    

     子供達がたくさん並んでいる後ろに親が立っている。(基準)

     努力した結果、見事に合格した。

 日本語にはこの「外の関係」の連体節の種類がいろいろあり、学習者にとっては習得しにくいものになっています。読んで理解するのはともかく、自分でこの文型を使おうとすると、どんな名詞がこの形になるのか、それぞれの場合の制限は何か、などをよく知っていなければなりません。

 この文型をとれる名詞はある種のものに限られていますが、意外にたくさんあります。それらは、連体節と名詞との関係のしかたによって、いくつかに分けられます。一つ一つ順に見ていきましょう。

 外の関係の連体節をとる名詞をまず大きく3つに分けてみます。

   [1] ニュース、手紙、うそ、意見、考え、誘い、決心

   [2] 事実、事件、可能性、記憶、歴史、夢、恐れ

      仕事、作業、方法、目的、技術、運命、資格、準備、癖

   [3] 上、横、後ろ、音、感じ、痛み、におい、光

      傷、おつり、結果、悲しみ、怒り

 それぞれ、ある特徴を持った名詞です。以下の説明を読む前に、少し考えて

みるのもいいでしょう。これらはどんな「外の関係」の連体節をとるのでしょうか。


56.3.1 言語・思考関係の名詞

修飾される名詞が、言語・思考関係の名詞で、連体節がその「内容」を表すものです。

     大地震が起きそうだという うわさ/うそ/手紙

     みんなで行こうという 意見/考え/誘い/決心

これは、意味の関係がいちばんわかりやすいものです。連体節と修飾される名詞との間に「という」が入るのがふつうです。この「という」は「58.引用」で扱う引用の「と」につながるものです。

     「何も見なかった」とうそを言った。

     何も見なかったといううそを言った。

 これらの名詞の大きな特徴は、この「という」の前に様々なムードの複合述語が現れうることです。もちろん、自由に現れうるわけではなく、それを受ける名詞によって、連体節のムードの種類が決まっています。多くの名詞は引用の動詞と形態的または意味的な関係があります。

     「来年行ってください」と依頼した。

     来年行ってくれという依頼/お願い/手紙/話 だった。(依頼)

     「みんなで行きましょう」と誘った。

     みんなで行こうという意見/提案/誘い を書いた。  (勧誘)

 このように連体節の中に強いムード表現が来るというのは非常に特徴的なことです。これは「という」の「と」が、引用に似た働きをしているからです。

 「V-てください」「V-ましょう」という依頼・勧誘の表現は、当然のことながら、言語表現と関係のある名詞で受けなければなりません。

     「絶対に行こう」と決心した。

     絶対に行こうという決心/気持ち/考え は動かない。 (意志)

 意志の場合は、思考の名詞です。もちろん、言語表現の名詞でも受けられます。

     絶対に行こうという考え/意見/提案/話/文章だった。(意志)

 以下は引用の例を省略して、連体節だけにします。

     明朝出発せよという命令/指令/知らせ を受けた。  (命令)

     やめた方がいいという忠告/ことば/手紙 を無視した。(忠告)

     やってはいけないという制止/圧力 をはねかえした。 (禁止)

     責任をとるべきだという批判/判断/反省 があった。 (当為)

     できるわけがないという断定/思いこみ/批判 は誤りだ。(断定)

 以上の例では、連体節の述語と名詞とは特に関係がありませんでしたが、次の例では連体節の述語の主体がすなわちその名詞の心理の主体でもあります。

     彼は留学したいという望み/希望/夢 を持った。   (希望)

 「彼」が「したい」のであり、また「彼」の「望み・希望・夢」なのです。さらには、主文の述語「持った」の主体も「彼」です。このような関係は、次の「事柄名詞」の中にもあり、そこでまたとりあげます。

     結局だめだろうという予想/判断/思い が前からあった。(推量)

           これはうまく行くだろうという感じがした/印象を持った。(推量)

 上の2例も「彼は/彼には」のような主体を加えると、「予想があった・感じがした・印象を持った」のはすべてその「彼」です。

 以上のような、連体節に特別なムードを持たない例も、もちろん数多くあります。

     首相に責任があるという街の声

     能力を生かせる仕事が来ないという不満

     駅前の喫茶店で待っているという伝言

     しばらく留守にするというメモ

     焦ってもいいことはないという意味のことわざ

     核戦争が起こって人類が滅亡するという筋のSF小説

     少年犯罪が増えているという調査

     貿易赤字が増えているという統計

     未知の物質が放射能を出しているという発見

     阪神が優勝するという予想/妄想

 このように、意外に多くの名詞がこの「外の関係」の連体節になります。そして、言語関係の名詞には「という」が必要なことも忘れてはいけません。

 思考関係の名詞では、「という」がなくても使えることがあります。

     こんな報告書一つでは、事態はおさまらない感じがした。

     数人の議員が、その工事に関して賄賂を受け取った 疑いがある/疑いが持たれ

     ている/疑いで告発されている。


[~か(どうか)というN]

 連体節に疑問文が入る場合があります。

     これを誰が担当するかという問題が残っている。

     日程はいつにすればいいかという点で意見が食い違った。

     都内に喫茶店はどのくらいあるかという調査を行った。

     急成長の原因は何かという分析が必要だ。  

     現在の世界の人口は何人かという推計/統計

     子供の自殺は本当に増えているのかという疑問/反論

     計画は失敗に終わるのではないかという予感/恐れ/推測/予想

     できるのかどうかという疑い/不安 は消せない。

     いつ終わるのかという質問/問い/手紙 に答えた。  

 「疑問」というムードには二つの意味があります。一つは「疑い」で、答えを求めていません。一人で考えているだけです。もう一つはもちろん「質問」です。上の例で、「疑い/不安」などは、答えを求めていません。「いつ終わるのかという疑い」とすると、「いつ」を聞いているのではなく、「本当に終わるのだろうか」という意味合いになります。「質問」でない「疑問文」については「42.疑問文」でも述べました。その違いが外の関係の連体節をとる名詞にも現れています。


[「言い訳」など]

 言語関係の動詞で、「という」が入らない場合があります。

   a 約束の時間に遅れた言い訳/弁明(×~遅れたという言い訳)

   b 事故があったために遅れたという言い訳/弁明

 aは「遅れたことに対する」言い訳です。言い訳の内容ではありません。bの方が言い訳の内容です。このように「言い訳」のような名詞は二種類の「外の関係」の連体節をとることができます。これは、あとでとりあげる「因果関係の名詞」に似ています。

 以下の例も皆「~に対する」応答という意味合いの名詞です。

     窓ガラスを割ってしまったお詫びを言いに行った。

     手伝ってもらったお礼をちゃんと言った?

     詳しい数字を問い合わせた返事が届いた。

     さっき質問した答えをまだいただいていませんが・・・。

     cf.その問題は現在調査中だという答え 


56.3.2 事柄名詞 

 事柄を表すか、事柄に関係する名詞で、連体節がその内容を表すものです。「事柄を表す」というのは、「いつ、どこで、誰があるいは何が~する」ということが考えられるような内容だということですが、名詞によって、その「いつ」や「Nが」が連体節に入らないものがあります。連体節の述語が現在形/過去形のどちらの形をとるかということも名詞によって違います。また、意味の面では、社会的なこと、個人的なこと、可能性に関するもの、などがあります。

 言語・思考動詞のような、様々なムードを表す述語は連体節の中に表れません。「という」がなくても使えます。ただし、「~だ」の述語、つまり名詞述語とナ形容詞の現在形は「という」が必要です。

 この種の名詞は予想外に数が多く、ふだん気づいていないのですが、日常ありふれた型です。

 まず、言語関係の名詞に近いものから。「話」は「と」をとる引用の動詞の名詞形ですが、「という」がなくても使えます。「話す」の名詞形から「物語」などに意味が広がっていることによるのかもしれません。

     浦島は、浜辺で亀を助けたと母親に話した。

     浦島が亀を助けたという話

     浦島が亀を助けた話

 最後の例は、むしろその話の「題名」になっているとも言えます。

     人妻が職場の同僚と恋に落ちる(という)不倫小説が売れている。

     小学生の時、犬と家出した(という)エピソードを結婚式で話した。

 「ニュース」「記事」も「という」がなくても言えます。

     大女優が離婚したニュース/記事

 事実・事件など

     入試問題が盗まれた(という)事件/騒ぎ を覚えていますか。

     予算がない(という)事実を隠そうとする。

     彼女が無罪だという事実を人々に知らせようとした。(×彼女が無罪だ事実)

 歴史・過程 

     人類が戦争を繰り返してきた歴史を教えなければならない。  

     事件の真相を追求する過程の中で何が明らかになったか。

 状態・事態・風習など

     相手のピッチャーがよすぎて、我々は手も足も出ない状態だった。

     交通事故で年に1万人以上の死者が出る現状をどう考えるか。

     円安がどんどん進むという事態/影響が現れた。

     人々が神にいけにえを捧げる風習がある。

     白血球が減少するという病気/症状

     オゾンが分解されるという現象を発見した。

 法則・制度など

     強さが距離の二乗に逆比例するという法則/原理

     出資者が経営に参加する権利/義務/責任/制度/方針

     Aが増せばBが減るという関係を、逆相関があるという。

     1時間に5キロ進む速度/進みかた/やり方/方法/作戦

 条件・結果など。

     相手国が軍隊を即時撤退させるという条件で、和平交渉に望んだ。

     結局、我々が費用を負担せざるを得ない結果になった。

     調査してみると、ほとんどの人が知らないという結果が出た。

 この「結果」の二つの例で、下の方が「という」を必要とするのは、「調査結果」の意味なので、前に見た「言語」関係の動詞に近くなっているからでしょう。(「ほとんどの人が知らない結果」とすると、「結果を知らない」という「内の関係」の意味にとられそうです)後で「因果名詞」としてとりあげる例と違って、過去形になりません。

 写真・風景・様子など。つまりは感覚でとらえられるものです。「という」が入りにくいことが多いです。

     子供たちが笑っている写真が飾ってあった。 ×という

     農民が畑仕事をしている風景を絵に描いた。

     風に吹かれながら、一人丘の上に立っている姿が絵になる。

     何か困った(という)様子をしていた。   

     いっしょうけんめい大人のまねをする様子がかわいい。 

視覚に関するものが多いのですが、それに限るわけではありません。

     録音を聞いていると、皆が楽しんでいる様子がよくわかる。

     電話の声から、いかにも困っているという様子が伝わってきた。

 次の名詞は、話し手、あるいは主文の主体と「NのN」の関係にあります。

     合格は間違いだったという夢を見た。

     小さい頃、住んでいた家が火事になった記憶があります。  

     この土地で家族と過ごした思い出がよみがえってきます。

     その女優は戦後の大阪で孤児として苦労した過去/身の上を語った。

「私の記憶・夢・思い出」「女優の過去」です。「夢」以外は、意味的に述語の過去形を受けるのがふつうです。


 これから見ていく名詞は、連体節の中に「Nが」が入りにくいものです。また、多くの場合、「いつ、どこで」という具体性がなく、その内容が一般的、概念的なものです。また、あるもの・人に備わっている性質などもここに入ります。多くの名詞が、主節の主体の名詞と「NのN」の関係を持っています。

     本をたくさん買う仕事/癖/習慣(Nの仕事/癖/習慣)

すでに見たような「言語・思考」と関係のある名詞でもなく、また、具体的な「事柄」の表現でもないのですが、節で表されるような、ある内容を示している名詞です。「という」はあってもなくてもかまいません。多くの名詞で主体の「Nが」は現れず、節内の述語は過去形になりません。言いかえると、節としての独立性が低く、制限の強いものです。

 まず、「仕事」の類。 

     日本語を教える(という)仕事は、やりがいのある仕事だ。

     いくつかの薬品を一定の比率で混ぜる(という)作業を続けた。

 「仕事・作業」の内容を連体節が表しています。いつ、どこでということが特にないのがこの種の名詞の特徴です。「という」はあってもなくても成立し

ます。

     戦後の大阪で、闇物資を売りさばく商売を始めた。

 この例では「戦後の大阪で」が時間と場所を指定しているようですが、これは「売りさばく」にかかるというよりも、「始めた」にかかるものでしょう。「闇物資を売りさばく商売」というものは、あちこちであるものです。

 上の「作業」の例も、「いつ・どこで」ということはもちろんあるのですが、「作業の内容」を表している「薬品を混ぜる」という部分は一般的な内容です。

     昨日から近所の川に橋を架ける工事が始まった。

     日本語の起源を明らかにする研究をしている。

 「仕事」の反対の「遊び」の類も同じような形を作ります。

     子どもたちが足で石を蹴って円の中に入れる遊びをしている。

     家族で相手のカードを推理して当てるゲームをした。

 次は、「癖・習慣・性格・性質・一面」など、あるものが内在的に持っているものを表す名詞。やはり時や場所に関係なく、「という」を入れられます。

     トム・ピリピの癖は、うそをつく癖。(歌詞)

     どんな時にもあわてない(という)性格だ。

     この合成樹脂は熱に弱いという性質がある。

     毎朝歯をみがく習慣をつけよう。

     彼は人の言葉をすぐ信じてしまうという欠点が治らない。

     彼女は、論理的に議論ができ、感情に流されないという長所がある。

     最新型は、省エネに優れ、廃棄処理も簡単だという特徴を持っているので、絶対

     に売れますよ。     

 これらの例の「Nは」は連体節の中には収まらないで、主節の述語にかかっています。

 なお、「かんたんだ」のような「-だ」の場合は、「という」が必要です。

 「運命・夢・方針」など。

     私はあなたと出会う運命/定め だったんですね。

     彼女は宇宙飛行士になる(という)夢/希望を持っている。

     彼は社会を改革していく理想に燃えている。

     ここ数年、予算を縮小していくという方針でやっています。

     私はエレベーターには乗らない主義です。

 「目的・ねらい・目標・やり方・手段」なども外の連体節を形作ります。

     日本語の文法を研究するという目的を持って日本に留学した。

     試料を繰り返し熱するという方法で、完全に殺菌した。

     大使館員を人質に取るという手段に訴えて、主張を通そうとした。

 以上のように、外の関係となる「事柄名詞」は意外に多くあります。これらの名詞をいくつかに下位分類することができそうですが、その区別の基準を事柄の具体性に求めるか、あるいは「Nが」の有無や過去形の可否、あるいは何か他の基準によるか、というところがはっきりしません。はっきりした線は引けない、連続的なものかもしれません。

 最後に、可能性を表す名詞です。「Nがある/ない」の形ではムードの表現に近くなります。

     核戦争が起こる可能性はまだ否定できません。

     実験が成功しないおそれがあった。 


[「理由・目的・結果」など:因果名詞]

 前にとりあげた「言い訳」などの名詞と同様に、「という」を使えない用法があります。

     君が会社を首になった理由は何だい?(×首になったという理由)

     重要書類を紛失したという理由で首になった。

     彼女が日本に留学する目的は、経営学を学ぶことです。(×という)

     彼女は、経営学を学ぶという目的を持って日本に来た。

     綿密に調査した結果、以下の事実が明らかになった。(×という)

     地下水がひどく汚染されているという結果が出た。

それぞれ、「という」が使われている例は、連体節がその名詞の「内容」を表しています。では、「という」が使えない例では何を表しているのでしょうか。ある事柄が起こる前には「原因・理由」があり、その事柄が起こったあとにはその「結果」があります。また、それが人の行動ならその「目的」があるでしょう。事柄によっては、「条件」が問題になります。このような、ある事柄をめぐる様々な名詞が、もう一つの外の関係の連体節を形作ります。これらを、仮に「因果関係に関する名詞」略して「因果名詞」と呼んでおきます。

 「結果」は「で」などの助詞も使われず、連用節に近い用法になるところが特徴的です。

「ねらい・条件」の例。

     この講座を開設したねらいは、科学の将来を考えることです。

     科学の将来を考えるというねらいで、この講座を開設しました。

     和平交渉を再開した条件は、軍隊が撤退することだった。

     一月以内に軍隊が撤退するという条件で、和平交渉を再開した。

「原因」は内容を表す連体節は言いにくいようです。

     事故が起きた原因は現在調査中です。

    ?ブレーキが故障していたという原因で、事故が起きたらしい。

     cf.ブレーキが故障していたのが原因で、事故が起きたらしい。

 その他の類例をいくつか。

     円高が進んだ影響が各方面に現れている。

     石油価格が下がるという影響

     メーカーが宣伝費を倍増した効果がはっきり出てきた。

     子どもたちの間での知名度が上昇しているという効果

     厳しくしつけすぎた反動で、娘は大学では遊んでばかりだ。 

[証拠]

 「証拠」はまたちょっと違った特徴のある名詞です。他に類例があるかどうかわかりません。

     彼がやった(という)証拠

 「彼がやった」というのは「証拠」の内容ではありません。その証拠によって「やったと言える」わけです。その点で「結果」や「影響」とも違います。

     ケーキを一人で食べてしまった証拠

     口のまわりにクリームが付いているという決定的な証拠


56.3.4 相対的な概念を表す名詞

 場所・時間に関するもの、動作の結果として残るもの、感情名詞、論理的な関係を表すものなどがあります。どれも「という」は使えません。

[場所・時間]

 場所に関して相対的な関係を示す名詞があります。

     人々が歩いている上を紙飛行機が飛んでいった。

この「上」は「歩いている」所、ではありません。その「上」です。

     私たちが見ている前を、彼女は悠々と歩いて行った。

     私が立っていたすぐ横の壁に、銃弾が当たった。

     彼が住んでいたとなりに、ちょうど彼女が引っ越してきたんだ。

 「途中」もこの類と考えられます。

     駅まで歩く途中に郵便局がある。

 数量が入れられます。

     わたしたちが座っていた2メートルほど後ろを通ったそうだが、ぜんぜん気がつ

     かなかった。

時間に関しても同じように言えるわけですが、その中のいくつかのものは、その重要性を考えて連用節としてすでに取り扱いました。(→「48.時」)

     鐘が鳴る前に/鳴ったとき/鳴った後で 外に出た。

 その他にもさまざまなものがあります。

     独立が宣言される前日、彼は皆を集めてこう言った。

     そのことが発表された翌日、銀行に人がつめかけた。

     大臣になる直前に選挙違反が明らかになった。

     夫婦げんかをしている最中に、両親がたずねてきた。 

「翌週・翌年」などももちろん同じです。「次の日」などの表現もここに入れられます。

     彼らが結婚した次の年に子供が産まれた。

「結婚した年」なら、内の関係です。「(その)年に結婚した」となります。

 数量を使った場合。

     結婚して十日後に別れてしまった。

     退職する3年前から、この店の開店準備をしていた。


[結果として生まれるもの]

 まず、行為の結果作り出される、感覚でとらえられるもの。

     ドアを開ける音が聞こえた。

     サンマを焼く煙/におい が流れてくる。

     注射針を刺す痛みは、いくつになってもいやなものだ。

     大きなファイヤーが燃え上がる熱で、顔が熱くなった。

     爆弾が炸裂する光が遠くの山からも見えた。

 何かのあとに残る感情。

     愛犬を失った悲しみを忘れられないらしい。

 「愛犬を失った」は「悲しみ」の内容というより、原因です。

     侮辱された怒りがこみ上げてきた。     

     話し相手がいない/を失った 寂しさは何とも言えない。

 過去形では「その結果としての感情」になりますが、現在形を使うと、その「寂しさ」の 内容そのものを表します。そして、「という」を入れることができます。

     話し相手がいないという寂しさ

    ?話し相手を失ったという寂しさ

 「失ったあとの、一人でいることの寂しさ」と考えるか、「失った」ということ自体にある種の感慨を持つか、で文の自然さの判定が違ってきます。

     この仕事は自分の能力を超えているのではないか、という不安

     家族と一緒に暮らせる(という)幸せ

この例は「不安」や「幸せ」の内容でしょう。

 行為の結果、残るものを表す名詞の類。

     刀で切られた傷が肩にある。(「傷を切られた」ではない)

     釘を抜いた跡がいくつも残っていた。

      缶ビールを買ったお釣りがポケットに入っていた。

     展示に使った残りの紙類は捨てないでおいてください。

     この部屋に誰かがいた形跡がある。

 行為の中の「エネルギー」があとに影響します。

     坂を転がってきた勢いが止まらず、そのまま壁にぶつかった。

     ジャンプしたはずみで、前につんのめってしまった。

 「論理的な相対関係」の名詞は、すでに「因果名詞」としてとりあげました。 「言語関係の名詞」のところで扱った「言い訳」などの名詞も、広い意味では「相対的な」名詞と言えるでしょう。


56.3.5 二種類の外の関係をとれる名詞  目的-方法-結果

「目的・結果・方法」などは「56.3.3」でもとりあげた名詞です。つまり、これらの名詞は2種類の「外の関係」の連体節を受けることができます。「内の関係」も受けられますから、全部で3種類の連体節ができます。

     半導体の技術を学ぶ(という)目的  内容

     日本に留学する目的         相対関係

     面接で聞かれた(留学の)目的     内の関係

 日本語学習者はこれらを読んだり聞いたりした瞬間に、連体節の種類がどれであるかを分析し、連体節と名詞の意味関係を理解しなければなりません。人間は何と素晴らしい能力を持っているのでしょうか。もう少し例を並べておきます。内容・相対・内の関係の順に並べます。

  罰

      地獄へ堕ちるという罰      (どんな内容の罰か)

     悪事を働いた罰         (なぜ罰を受けるか)

     カンダタが受けた罰       (どの/誰の 罰か)

  ねらい

     若い研究者を育てる(という)ねらい

     この講座を開いたねらい

     講座紹介のページに書いたねらい

  条件

     軍隊が撤退するという条件で、和平交渉を再開した。

     和平交渉を再開する条件は、軍隊が撤退することだ。

     相手側が提示した条件を検討し、了承した。

  結果

     ずさんな工事が、十数カ所で雨が漏るという結果をもたらした。

     綿密に調査した結果、以下の事実が判明した。

     報告された調査結果は、以下の通り。


niwa saburoo の日本語文法概説

日本語教育のための文法を記述したものです。 以前は、Yahoo geocities で公開していたのですが、こちらに引っ越してきました。 1990年代に書いたものなので、内容は古くなっていますが、お役に立てれば幸いです。

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